木曽駒ヶ岳 6月の残雪
2017年6月3日(土)
今回は予定変更で、急遽木曽駒ヶ岳へ行ってきました。
6月前半の乗鞍スカイラインは凍結に注意
季節の変わり目だからか、なんだか疲れが取れず、身体がダルいので、短時間で3000メートル峰に登りたいと思い、6月2日(金)深夜、一路高速で乗鞍岳へ。
身体がダルくてもやっぱり山に行きたくなっちゃうから不思議です(ワラ)
まわりからは、「疲れてるなら家で休めばいいのに」と言われますが、山だからこそ心が充電できるんですね。
深夜2時、平湯温泉の、ほおのき平駐車場に到着しました。
この時期は長野側の乗鞍高原からはバスがありませんので、岐阜側のここからでなければ畳平に行けません。
始発のバスは6時50分なので、6時まで車で仮眠します。
毛布一枚にくるまりますが、寒くてなかなか寝付けません。
サンルーフからはプラネタリウムのような星空が見えます。
ウトウトしたまま6時を迎えました。
駐車場は10台もいないくらい。
閑散としています。
バスの受付へ行くと、数人の登山者がザワザワしています。
お話を聞くと、昨日の雪で乗鞍スカイラインが凍結したため、午前中は通行止めに!!
天を仰ぐ人、スマホで他の山を探す人、それぞれ残念な気持ちを噴出させています。
ずっと運転してきて、寒くて眠れなかったパートナーは、ベンチで明日のジョーのように真っ白になっています。
私の脳内会議が始まります。
新穂高へ戻り西穂独標へ行くか?
上高地から涸沢へ、日帰り装備しか持ってきていないけど、ツェルトでビバークするか?
う~ん。
!!!
そうだ!木曽駒に行こう!?
ここからなら2時間ちょい。
9時前には菅の台に着くので、余裕で行ける!(私が運転するわけではないのに勝手ですね)
ということで、西村京太郎トラベルサスペンスも驚きの展開で、木曽駒ヶ岳へGO!
真っ白くなって固まったままのパートナーに缶コーヒーを与え、起動します(笑)
乗鞍岳は翌年リベンジしました
おなじみの菅の台バスセンター。
あれ?いつもより人が少ないです。
駒ケ岳ロープウェイ年間パスポート
こんな急な思いつきでも、年間パスポートがあると便利ですね。
年間パスポートは、
12,000円で、バス、ロープウェイが乗り放題です。
同行者は5名までバス、ロープウェイが20%引き。
菅の台バスセンターの無料駐車券が 付いてきます。
ホテル千畳敷のレストランも5名まで10%引き。
と、かなりお得です。
ちなみに今年は50周年だそうです。
大好きな木曽駒ヶ岳。
ワクワクしながら千畳敷に到着です。
溢れる日光を受けて、山が歓びおののいているようです。
八丁坂はまだまだ残雪が見えます。
岩肌と雪が海外の山のような世界観を見せてくれます。
雪面が春山特有の照り返しで、目に刺さります。
気温は8℃ちょっと。
心地よい風と日差しでお昼寝できそうです。
今日はTシャツに厚手のソフトシェル。
おすすめソフトシェル - 登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~
ノースフェイスのバーブパンツにオーバーパンツを履きました。
靴は冬靴です。
グローブは薄手のインナーグローブのみ。
あ、もちろん冬用グローブや、ハードシェルとビレイ用ダウンジャケットはザックに入っています。
残雪の様子
八丁坂の残雪は踝ぐらいまで埋るコンディションで、10時の時点では緩くもなく歩きやすいです。
それでも急斜面の恐怖を思い出し、12本爪アイゼンを履きます。
この時期は夏ルートと同じく鳥居を潜ってスタートです。
木曽駒ヶ岳、いざゆかん!
この雪の下ではそろそろお花たちが咲く準備を始めているのかな?
あれ?
なんだか身体が重たいです。
冬の間に溜め込んだ脂肪のせいか(苦笑)
息が上がり、足の筋肉も早速パンプしかかっています。
毎年のことなのですが、自身を戒める、シーズン明けとなりました。
いくら雪山に登っていても身体は重たくなってしまいます。
例年梅雨入り前に身体を作るため、谷川岳の西黒尾根をやった後、日帰り10時間コースの山をいくつかやって、やっと夏山仕様の身体が出来上がるという恒例行事なのです。
冬の間からダイエットとトレーニングをすれば良いのに、まったく学習できていません。
そんな自分の不甲斐なさに忸怩たる思いを抱きながら登ります。
暑いのですぐにTシャツ一枚に。
空を見上げると太陽の回りに虹が見えます。
後で宝剣山荘のお姉さんに聞いたら、天候が崩れる前兆だと教えていただきました。
今日は本当に人が少ないなぁ。
斜度はどんどんきつくなってきますが、登りやすい。
それから軽装備の人が目立ちます。
八丁坂の途中まで行って引き返してきた人も数人。
ジーパンの人はお尻を着いたまま必死に降りてきます。
外国からの観光の方は、トレースの上をゆっくりシリセード。
足元はスニーカーにチェーンスパイクです。
怪我しないように気を付けて、と心の中で祈ります。
オットセイ岩。
いつもと変わらず宝剣岳を見上げています。
乗越浄土の手前からは夏道の階段や足場が見えています。
前爪を引っ掻けないように、丸太を傷つけないように、慎重にギョリギョリと歩きます。
ここでアイゼンを外すと良かったと反省します。
年末はここがカリカリに凍っていて泣きそうになったことを思い出します。
本当に怖かったなぁ。
約30分で乗越浄土。
ほとんど雪はありません。
大好きな宝剣岳。
もう登頂している人が見えます。
羨ましい。
ヘルメット持ってくれば良かった~(悔)
稜線が女性らしく、美しい伊那前岳。
いつも変わらず鎮座する中岳越しの木曽駒ヶ岳。
いつ来ても天国のようですね。
さあ、大好きな宝剣山荘へ向かいます。
山荘の手前はまだ雪が残っています。
スタッフの皆さんはお元気かなぁ?
いつものお姉さんがいました♪
なんと背負子で新しい枕と布団を運んできたようです。
すごいボリュームでした!
今年の宝剣山荘は新品の寝具です!
ストーブの前でいろいろお話をさせていただきました。
ここは本当にほっこり癒されます。
本格的な小屋開けは、もう少し先のようで、準備にお忙しそうでした。
支配人さんといつものお兄さんは水の確保の為の作業に出かけているそうです。
今日は山荘の回りをのんびりお散歩することにしました。
このフラットな場所は本当に素敵ですね。
木曽駒ヶ岳一帯の魅力が全て見渡せます。
柔らかい空気に風景が全て包まれて、生命の息吹をたたえているのを感じます。
空は遠くまで高く広く、雲は輪郭をくっきりさせています。
昨日は0℃にも届かなかったようで、この時期には珍しくエビの尻尾まで出来ていたそうです。
ツララがキラキラ。
年末に入口だったところ。
春の柔らかさが風景を包みこみ、光は丸みを帯びています。
隅に追いやられたドラム缶でさえ穏やかな風に吹かれています。
山での水の確保
中岳の方を見ると、取水タンク?の上にいつものお兄さんが立っています!
見てるだけでドキドキする危険な作業。
水の確保ってこんなに大変だったんですね。
支配人さんもホースが通っている雪の斜面で作業しています。
トラバースが苦手な私には絶対無理ですね。
遠くから見守ることしかできません。
木曽駒ヶ岳を訪れる登山者のために危険と隣り合わせの作業をされているんですね。
風が出てきて、太陽が雲に隠れてしまうと、身体が冷えてきました。
宝剣山荘に戻ってコーヒーをいただきます。
はぁ~、今、窓越しに光る伊那前岳を見ながらコーヒーを飲んでいるのは世界で私だけ。
有名な山岳ガイドさん
すると、あちこちの山で時々お見掛けするガイドさんが来ました。
いつも歩き方がかっこよくて、声をかけようと思っていたのですが、なかなか勇気が出ませんでした。
今日はお姉さんに紹介して頂き、一緒に写真を撮っていただきました。
渡辺さんは、ワイルドなルックスですが、とても丁寧で優しい紳士でした。
冬になったらアイスクライミングのガイドをお願いしたいな♪
https://ja-jp.facebook.com/tetsuo.watanabe.31
お昼休憩のお姉さんとまたまたおしゃべり。
楽しい話、勉強になる話、山は話題が尽きませんね。
木曽駒ヶ岳一帯にはまだまだ素敵なルートや山があることをお聞きできたので、またチャレンジしたらレポートしようと思います。
こんなに人が少ないなら今日は宝剣山荘に泊まっちゃおうかな?と悩みましたが、名残惜しくも下山の時刻になってしまいました。
というのも、今日は菅の台で開催される「くらふてぃあ杜の市」というクラフトイベントを見たかったからです。
杜の市は、300を超えるテントが並び、作家さんの作品を購入したり、大道芸や手作りパンなんかの食べ物も出店しています。
もちろん私のお目当ては食べ物。
ソースカツ串に、飲むヨーグルト、ソフトクリーム、それからそれから・・・。
下山
夏道の階段の下まではアイゼン無しでいきます。
雪も弛んでいるのでツボ足でも行けるのですが、怖いのでアイゼンを履きます。
後ろから来る人の邪魔にならない場所で・・・。
午後の陽射しは黄色味を帯びて、雪肌をキラキラ金色に輝かせています。
振り返ると岩峰が覆いかぶさってくるような錯覚が起きます。
八丁坂を登るときはいつも、あの向こうにある絶景を目指して、息が切れても、足がパンプしても、不思議とガンガン進めます。
日常生活では辛いことがあると、つい逃げたり、休んだり。頑張った先に、きっと何か良いことがあるんだって思って、進まなければいけないのですが、なかなか・・・。
雪は丁度歩きやすいコンディションでした。
スタスタと小走りしたり、方向転換してみたり、滑落停止を練習したりしながら、来年の雪シーズンまでに感覚を忘れないように、色々な歩き方をしてみます。
あっと言う間に千畳式駅に到着しました。
木曽駒ケ岳、また来るよ~♪
まとめ
アイゼンの装着のタイミングが難しかったです。
装備選びも、ついつい春の陽気に騙されて軽くしてしまいがちですが、急に冬に戻ることもあるそうなので、日帰りでもしっかり装備しなければいけませんね。
それから山荘のスタッフさんの、危険と隣り合わせの作業を垣間見て、改めてしっかり登らなきゃと思いました。
装備、知識、技術をしっかり、そしてなにより楽しく(自分だけじゃなく)登りたいと思いました。