登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

木曽駒ヶ岳 冬支度と携帯トイレのススメ

2016年10月22(土)

木曽駒ヶ岳 10月 テント泊

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前回の北穂高から、秋のイベントシーズンで仕事がとても忙がしく、休日出勤が続いていました。
忙しいと時間は早く過ぎるように感じるものですが、私にとっては長い長い2週間ぶりの山となりました。

穂高の記事はこちら↓
chi-sk8.hatenablog.com



さて、木曽駒ヶ岳フリークとしては、「月イチ木曽駒」をしないとココロが充電できません。
傷つくことを知った14歳か15歳の少女のように、毎日山の事を考えてはニヤニヤしたり、軽くため息をついたりしてしまいます。

そして何よりそろそろ宝剣山荘の小屋閉めが近づいています。
春まで山荘のみなさんとお会いできなくなってしまいます。
特別に親しいわけではないですし、いつも決まってテント泊ですし。
ですが木曽駒に登ったら、いつもあのアットホームな山荘が開いている。
あるいはストーブの横でココアを頂くだけでほっとできる。
登頂した達成感や、綺麗な景色はもちろん登山の醍醐味なのですが、何故だかあの山荘が好きなんです。
厳冬季に死を覚悟してビバークした翌朝、モルゲンロートの中に浮かんだ宝剣山荘のあの姿はずっと目に焼き付いています。
なので、今、登らなきゃいけない。

ということで今回は10月の木曽駒をレポートします。

月曜から毎日天気予報をチェックしていました。まるで遠足の日が近づく小学生みたいに。土日は両方晴の予報のまま変わらず。
最近は休みの日に限っていつも雨でした。ですので久々のお天気に恵まれ、ウキウキしながら、菅の台バスセンターに深夜到着しました。

車の中で仮眠なのですが、かなり寒かったです。
冷蔵庫にいるような冷え方です。
厚着して毛布にくるまりましたが、熟睡はできませんでした。

はたしてこんな状態でテント泊は大丈夫なのだろうか?


日が登る頃にはそんな一抹の不安もワクワク気分ですっかり忘れ、千畳敷に到着です。
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気温は13℃
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寒いです。



木々は冴え冴えと葉を落とし、しかし芯に力強さを秘めて、冬の空に向いています。
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私は厳冬期に備え、いつも以上の過剰装備に、水を4リットル担ぎ上げ足腰を鍛える予定です。

しかも気合いを入れてTシャツ一枚で悪目立ちのスタートです!
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木曽駒ヶ岳、いざゆかん!

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出だしは平坦な道なので、筋肉が温まる間も無くスピードが早くなってしまいます。
謝りながらどんどん先に抜かせてもらいます。



ダウンジャケットやフリース、ハードシェルといった姿の登山者が多い中、Tシャツ一枚の私。
そんな姿を見て「若~い!!!」、「寒くないんですかぁ!?」、「早~い!」と声をかけられて、いささか恥ずかしい。
少し息があがっていても、今更ペースを落すと格好がつきません(笑)

さらに道を譲ってもらいながらガンガン登ります。
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30分を切るタイムで乗越浄土に到着♪

息切れと、気分の良さが混じった空気が「はぁ~」と漏れます。


千畳敷のずっと向こうには富士山。
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乗越でもTシャツにテン泊装備が目立つらしく、何人かに声をかけられたり、グループの登山者に写真を頼まれたり。
初めて木曽駒に来たらしく、みんな嬉しそう。
なんだか私も嬉しくなってしまいます。
心の中では「どうだ!私の木曽駒は素晴らしいところでしょ?」
と、勝手に自慢します。
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相変わらず暖かな雰囲気の場所です。

大好きな風景。

高く広い空に乾きかけの白い絵の具を筆で掃いたような雲。

時間が止まったように静かな伊那前岳。
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天空にそびえる宝剣岳
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冬のザラザラした粒子の荒い光に包まれて、懐かしく感じます。



頂上山荘はもう閉めているそうですので、宝剣山荘でテント泊の受付をします。
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いつもの渋いおじさまに、テン場のトイレや水場も閉まっていることを教えてもらいました。

大丈夫!今日は水も担いできたし、携帯トイレも持ってきた!

いつもの憧れのお姉さんは小屋閉めでお忙がしいのか姿が見えません。
残念ですが、帰りにお会いできることを楽しみに、テン場へ向かいます。
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中岳。
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誰もいないテン場。
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御嶽山も見えます。
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振り返ると宝剣と伊那前に囲まれた山荘。
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もし鳥に生まれ変わったら、毎日ここから飛ぶことにしよう。
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一番好きな眺めです。


ただいま~!
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誰もいません。

久々に晴れた日に来られたこの場所。



きな粉みたいな色の岩の間を歩き、幕営に良い場所を探します。

ガリガリと砂利を踏む音が耳に心地好い。

忘れ物のキズだらけのペグ。

ほとんど感じられない程度の風になびく枯れ草。

全部が柔らかな淡いトーンで。

気温が上がるにつれ、小屋の前のドラム缶が気圧の変化でボゴーンと鳴ります。


小屋は窓が板で塞がれ、もう雪に備えてあります。
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寒いけど心地好い風に吹かれながらテントを設営します。
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今回はトイレ用にツェルトを張ってみました。
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気まぐれな弱い風の呼び掛けに、まるで生返事をするように、テントがパタパタと応答しています。

テントの中に入ると、眠気がやってきて私を誘う。

しばらくすると、数組テント泊の人達がきました。


誰かいると思うと少し安心です。
でも、トイレ用のツェルトのすぐ隣にテントを設営していたので、申し訳ないのでツェルトは撤収します。
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アタックザックにハードシェル、水、行動食、救急セット、無線、タオル等を入れたら、ヘルメットを装着して宝剣岳へ向かいます。

剣岳も何度も登っていますので、前の記事で詳細ご覧ください。↓
chi-sk8.hatenablog.com



テントに戻ると、またあの眠気がやってきました。
仕事の疲れもあるのかもしれません。

よくよく考えると休みの日はほとんど山にいます(笑)
計算すると年間で100日近いのかな!?
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よく会社の人に「疲れないの?」と聞かれますが、そんな風に感じたこともありません。
家事は平日の夜にやってしまいますし、家でゴロゴロするより山にいた方が落ち着きます。
うちの犬がいつもお気に入りの場所で、ぐるぐる回りながら匂いを嗅ぎ、納得してからゆっくり寝そべるように、私も山をぐるぐる歩き、お気に入りのテン場でゆっくりと休んでいます。


大好きな木曽駒ヶ岳なら行動時間も短いですし、何より気持ちを元気にしてくれます。
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そんなことを考えながら、私の意識は、空をゆっくり飛んでいく旅客機のように、だんだん小さくなり眠りの中に消えていきました。

どのくらい寝ていたのか。
気が付くと硫黄の匂いが(汗)
これはパートナーが寝ながらオナラをなさったかっ!?
テント内は殿中でごさる!
是非に及ばずともまかりならぬこと!

と、テントのジッパーを開け換気すると、余計に硫黄の匂いが。

外に出てみるとどうやら御嶽山から風に乗ってきた硫黄の匂いのようです。
「疑って誠にすまぬ」と心の中で切腹しておきました(ワラ)



夕食は最近のマイブーム、すき焼きです。
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今回はちょっと量が多かったようです。


食後の歯みがきをしていたら···

ついにこの時が!


明るいうちにチェックしておいた岩の陰に急ぎます。

携帯トイレ

今回は、これを使います。

「サニタクリーン 携帯トイレ」
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これは屋久島山岳部利用対策協議会で用いられているようで、立山でも推奨せれている商品です。

おすすめポイント①

袋が大きく、広げると和式便所並のサイズになります。
これなら最悪テント内で使っても的を外す恐れがありません。

おすすめポイント②

この、超防臭チャック袋がウリのようです。
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頑丈そうな厚みのビニールで、しっかりしたジップ付きです。そして防臭効果があるようです。

実際に、東京まで持ち帰りましたが、車の中でも全く臭わず、ザックの中も全く無臭でした。

使い方

①本体袋のキリトリ線に沿って開封します。
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 ミシン目があるので手で簡単に切れます。
 切り取った部分は使用後に袋の口を縛るヒモとして使います。
 本体はかなり大きく、安心感があります。
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②パリパリした硬めのビニールなので、形を作りやすいです。
 袋の口を外側に折って便器の形にします。
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 折る高さを少し高めにすると風の影響もなく安心です
 袋のマチがあるので、カーブしてしっかり中央で受け止められます。
 中には吸水シートが入っていますので安心です。
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③使用後は空気を抜いて口をしっかり縛ります。

④チャック付き外袋に入れ、しっかりチャックします。


トイレットペーパーの便利な使い方

トイレットペーパーは、芯を潰して、ヒモを通します。
ヒモは首からかけてしゃがんだときに丁度良い長さにします。
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芯を潰したことで、不用意にペーパーが送り出されることを防ぎます。
これなら地面に置かなくてよいのでキレイですね。

感想

直接地面にして、袋で回収するよりは嵩張りますが、なんだかとても安心感がありました。
雨の日や、厳冬期、周囲に隠れるところが無い場合はテント内で使えるのでオススメです。
また、混雑するシーズンの人気テント場だと、トイレ待ちが30分なんてところもありますので、ザックに1つあると安心ですね。

使う前はなんか恥ずかしいし、複雑な気持ちでしたが、使ってみるとかなり快適でした。


トイレを終えたら寝る支度。

19時の時点でテント内の気温は3℃です。
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24時では2℃でした。
この時期にしては暖かい夜でした。

10月テント泊の装備


マット
5ミリ厚銀マット
サーマレスト リッジレストクラシックS

シュラフ
モンベル バロウバッグ♯3。
これは大活躍ですね。プリマロフトなので濡れても保温しますし、服を着込めばこの時期でも平気です。

フリース
mont-bell クリマプラス100 ジャケット
柔らかく、適度な保温力で今回はちょうど良かったです。
フーディータイプだったら寝るときも頭まで被れるし、ニット帽もいらないので快適だったかもしれません。

ダウンジャケット
パタゴニア ナノパフジャケット
これは脱いだり着たりするのでフルジップの方が便利ですね。
正しくはダウンではなくプリマロフトなのですが、濡れて安心ですし、裏地はスルスルして着心地が良く、腕上げも楽で狭いシュラフの中でも動きやすかったです。

ダウンパンツ
ナンガ ポータブルダウンパンツ
今回はこれの中にユニクロヒートテックタイツ、そして登るときに履いてきたズボン(マーモットの夏用)です。


モンベルのウールソックス

GUのアクリルニット帽

モンベル シャミースネックゲイター

貼るカイロ
これを肩甲骨の辺りに張りました。

これだけの服装とシュラフで寒いこともなく、快適に眠れました。


お昼寝をしたせいか、なかなか眠くなりません。
今夜は風もなく、小屋の発電機も動いていません。

とても静かな山の夜。

ヘッデンを付けて外に出てみます。

静かに吹き抜ける風は新しい季節の匂いがします。

数張りしかないテントの灯りは、特別な優しい温もりを獲得しています。
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空は不思議な色に光っていて、見下ろすと遥か向こうに宮田村の灯りが。
星も優しげに瞬いています。

あまりに静かな夜なので、自分までその場から居なくなったような錯覚を起こします。


もうすぐここも雪で埋まるんだなぁ。

まだ、雪山の怖さがわからず、楽しい部分しか知らずに雪山に登っていた頃を思い出します。

その頃の私は、アイゼンを履いて、ピッケルを持っただけで一人前を気取っていました。忸怩たる思いがします。



でも今となっては、その後たくさん怖い思いをしてよかったと思います。

何事もないまま山に登っていたら、今頃周囲が見えなくて死んでいたかもしれません。

体力や知識や技術は必要最低限のものです。
実際は天候が悪ければ登れないし、山のコンディションが悪くてもダメ。
一緒に登るパートナーも命を預けて、命を預かる存在。
会社を休ませてもらうこともあります。
自分に合った道具とか、山小屋の方たちや山岳警備隊の方との出会いも、いろんな要素が合わさって、やっと楽しく安全に登れるんですね。
「ご縁に登らせてもらってる」ということなんでしょうね。

本当に感謝です。

だから最近は仕事のストレスを忘れるのではなく、山で仕事のことを思い出してしまっても感謝するようになりました。
苦手な同僚や厳しい業務命令にも感謝。
少しですけど(笑苦)
だから下山しても「また頑張ろう」って思います。
あ、でもチャンスがあれば山に関する仕事がしたいですけど。

さぁ、明日は下山だ。
また下界でも頑張ろう。
ゆっくりと目を閉じる。そしてスイッチを切るように、頭の中からすべての灯りを消しさり、山の闇に意識が溶けていきました。


2016年10月23日(日)

いつもの山よりゆっくり起きました。
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テント越しにも今日も天気が良いのがわかる。
冷たい朝の空気は、子供の頃、学期の初めに新しい教科書を開くような、そんな気分になります。

コーヒーを入れようと、お湯を沸かしましたが、ガスの缶が冷えてなかなか火力が出ません。手のひらで缶を温めてやっと沸きました。
今回は試しにノーマルガスを持ってきましたが、そろそろハイパワーガスが良さそうですね。

沸いたお湯は、すき焼きフレーバーだったので諦め、カップ焼きそばを作ります。

竹内洋岳さんもヒマラヤでカップ焼きそばを食べるそうです。
力が出るそうです。

ところが、ソースを混ぜている間にもすぐに冷めてしまい、食べる頃には麺が玉に固まってしまいました。
山で食べる時は、お湯を少し残し気味に捨てると良いですね。

今日の格言

「山のカップ焼きそばはお湯を少し残すべし」

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食べようにも固まりかけた麺を啜るのにすごく疲れます。
パートナーはむせながら、むにゃむにゃゼーゼーしています。
竹内さんはカップ焼きそばで力が出たのではなく、元々ヒマラヤに登れる程の力があるから固まった焼きそばが食べれたのではないでしょうか(笑)

7時の時点で外の気温は5℃
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チラホラ登山者が登ってきました。

撤収を終えたら無人の頂上山荘にサヨナラします。



朝の動き出しすぐに中岳の急登。
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息があがります。

今日も最高のお天気です。
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宝剣山荘に近づくと、いつものお姉さんが!



今日はツナギ姿です。
カッコいい♪

日頃からツナギ姿が多い爽やかメガネ男子のお兄さんと一緒にガスボンベを運んでいます。
こんな力仕事までできちゃうなんて凄い!

小屋閉めの準備でしょうか?
ヘリで降ろす荷物がいくつも山を作っています。
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手を降ると気づいてくれました。
お忙しい中、少しお話していただき、またしばらくお会いできないのでお別れの挨拶をしました。
「ココアは無くなっちゃったけどコーヒーを飲んでいってね」と、私がココア好きなことも覚えていてくれました。


山荘に入ると、イケメンのお兄さんが今年最後の宝剣山荘のコーヒーを入れてくれました。
なんだか特別な味がします。
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山荘の窓から見る伊奈前も今年はもう最後かなぁ。
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山荘の中に水のタンクがありました。
もうだいぶ水の確保も大変になってきたようです。
黒川まで繋ぎにいっているそうです。

頭では理解していたつもりでしたが、こんなに水の確保が大変だったとは。
本当に大切に使わないといけませんね。

いつもよりゆっくりコーヒーを味わって、いよいよ下山です。
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乗越から宝剣山荘を振り返ると、お姉さん達が手を振ってくれています。
嬉しい♪
「また来ま~す」と手を精一杯大きく振り返します。

本当にアットホームなスタッフさんたち。
こういった出会いが、山に登っていて一番嬉しいことです。
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寂しい気持ちを抑えて下山です。

雪に包まれる前の景色を見ながらいつもよりゆっくり。ゆっくり。
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宝剣山荘のみなさん、また春にお邪魔します。

木曽駒ヶ岳は雪でも毎月くるよ!
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