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登山女子のぽんこつ日記~はじめての登山やコース、装備など~

登山のこと、山道具のこと、いろいろ紹介します。

年末の宝剣山荘

2016年12月30日(金)

年末の宝剣山荘

今年の年末年始は5~6年ぶりに宝剣山荘が営業すると、小屋閉めのときにお聞きしていたので、冬休みは宝剣山荘に行こうと、ずっと楽しみにしていました。
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とはいえ、水の確保や荷揚げの問題等、スタッフさんたちは相当な苦労や困難があったと思います。
それでも冬に登るたびに「食事もトイレも何もなくてもいいから宝剣山荘が開いていたらなぁ」と思っていたので、今回はとてもワクワクします。

木曽駒ヶ岳はとにかく強風のイメージがあって、乗越浄土に到着して一息つきたいとき、中岳から下りてきてヘトヘトのとき、凍ったゴーグルを拭いたり、グローブを交換したり、鼻水をかんだり、風が避けられるだけでも神様仏様のようにありがたい場所になります。

また木曽駒ファンの私にとっては、何よりも、スタッフさんたちの姿を見るだけでも元気を貰えます。

ということで、12月29日早朝、千畳敷に到着!

今回は予備日も2日間とってあります。
なんとホテル千畳敷に泊まってしまいました。

29日はかなりの強風。
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昨日までの仕事の疲れもあるので、危険と判断してホテルでのんびり過ごします。

ホテル千畳敷に泊まるのは初めてだったのですが、とても快適でした。
暖かくて、食事も美味しいし、窓からはずっと千畳敷カールが見えています。

受付のカモシカが獅子舞コス(笑)
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お部屋の備品には靴下まであります。
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浴衣姿でヘルメットを被って写真を撮ったり、ハーネスを装着したり、明日の装備をチェックします(笑)

12月30日(金)

強風とアイスバーンの八丁坂

31日は風は弱いですが、曇。
今日は晴れですが、午前中は強風。
今日行けるところまで行ってみよう。
ダメだったら明日再チャレンジします。

7時に朝食をいただいたら出発です。

外はマイナス13℃
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真っ青の空と雪のカールのコントラストが目に飛び込んできます。
サギダルの尾根筋を風が渡ります。
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宝剣山荘目指し、いざゆかん!
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天気予報によると、尾根筋は風速が28メートルになるそうです。

乗越浄土の辺りから雪煙が吹き降りているようです。
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今日は、同じく千畳敷に泊まった先行者が二人のみ。
トレースを拝借して追いますが、ふかふかで胸の当たりまで埋まる所もあります。
最初からヘルメットも被っておきます。
chi-sk8.hatenablog.com


粉雪が風に乗って、小川の流れのように雪面を滑ります。

しばらく登ると先行者が撤退してしまいました。

ラッセル交代すればよかったかな?
うんとこしょ、どっこいしょ、とラッセルします。
ピッケルを横にして掻いて、膝で圧縮、足の裏で圧縮。
なかなか消耗します。

少しずつ風が強くなってきます。
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オットセイ岩の辺りに風が集まるようで、顔面に雪や氷が混じった強風が当たります。
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次から次へと強風が。
うぉ~、ぶわぁ~、と叫びながら耐えます。

ゴルフボール大の塊がヘルメットに当たると、結構な衝撃で、ヘルメットを被っていて良かったと思いました。
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風の息の合間で進みますが、時々身体にドーンと当たる強風。
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何も見えなくなる程、真っ白の強風が長く続くと心が折れそうになります。
雪の混じった風は、夏の強風と違って重さがある感じです。
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風が通り過ぎ、顔を上げたらパートナーが居なくなっているんじゃないかと不安になります。
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風の弱い所まで少し下りて、態勢を整えます。


先行者が撤退した理由がわかります。

もう少し遅く出発すればよかったかな?



心を落ちつかせていると、遠く下に赤と黄色のハードシェルが!!!

あっという間に追い付かれました。
長野県警山岳遭難救助隊と中ア遭対協のみなさんでした。
今日はたまたま山頂まで様子を見に行くそうです。
すれ違いのときに挨拶すると、山岳警備隊のお二人は、一度お世話になった方でした。

しかし凄いスピードだったので、お礼を言うこともできず、なんとか後ろについて行きます。(汗)

よーし!勇気を貰ったので、強風ゾーンに再チャレンジです!

耐風姿勢をとりながらガンガン登ります。
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今日も乗越の手前はカリカリのアイスバーンです。
疲れが蓄積された頃に現れるこのアイスゾーン。
嫌だなぁ。

※強風の中、写真を撮り続けてくれたパートナーですが、ここからは危ないため写真がありません。
すみません。

三点確保を意識して、前爪をしっかり効かせて登りますが、恐怖心が。
ピッケル、右足、左足の順に。
ピッケルは窪みの硬いところに。
足は肩幅に。
ピッケルと両足が三角形になるように。
と、アイスクライミングの基礎を思い出しながら。
5日前に登ったときよりも怖く感じます。
chi-sk8.hatenablog.com



怖いのと、情けなさで涙が出る。
足の裏が疲れてぷるぷるする。
前爪が信用できない。

おまけに遭対の皆さんについていってしまったため、管理小屋の方に直登してしまいました。
本当は乗越の看板の方にトラバースした方が楽なのでしょうが、それも怖そうです。

下を見るとパートナーが笑顔でグーサイン。勇気づけてくれようとしています。

もし滑ったらパートナーを巻き込んでしまいます。
後続の人も、早い人、直登の人、トラバースする人が入り乱れて、余計に焦ります。
上の人がピッケルで足場を切っているので、破片が降ってきて氷が顔面に刺さって痛いです。


遭対協の皆さんは、普通に二足歩行で登っています。
スゴい!
歩き方1つとっても神業のように見えます。

一方ぽんこつな私は、ふくらはぎの筋肉が限界で、時々両膝を突いてしまいます。
膝を着くと筋肉は楽なのですが、 前爪の力が後ろに抜けやすくなってしまいます。

岩の周囲は特に氷が硬いので要注意ですね。

恐怖心と疲労の悪循環です。

私にペースを合わせてくれていたパートナーですが、あと数メートルのところで筋肉が限界になり、ここで先に行ってもらいます。

なんとか乗越浄土に到着で・・・強風が!!
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うぉ~!
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宝剣山荘に急ぎます。
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本当は伊那前岳に行きたかったのですが、ヘトヘトです。
なんでもない緩い勾配も怖く感じてしまいます。

山荘脇の小さな入り口を潜り抜けると

はぁ~、天国だなぁ~。

石油ストーブの匂い。
みなさんの笑い声。
床の軋む音。
結露した窓。
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格闘家風の支配人さん、いつもツナギ姿のお兄さんも冬の格好です。
冬にお目にかかれるのが不思議な感じです。
そしていつものお姉さんも♪
ホッとします。

山岳警備隊のみなさんは何やら打ち合わせのようなことをしているので、ここでも近づけず。

ご挨拶をして、コーヒーを頂きました。
緊張感から解放され、身体も心も暖まります。
ストーブで凍ったグローブを乾かします。

支配人さんとツナギのお兄さんは入り口を作るため、雪掻きをしています。
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スゴいパワーです!
ガチガチの雪を大きく切り出して、バンバンどけていきます。
革のビレイグローブでの作業、手は冷たくないのかなぁ。
重機並の除雪力です。
カッコイイ♪
私も筋トレしなきゃ。


あっという間に入り口が姿を見せました。

今日はオフだと言うお姉さんとおしゃべりして、楽しいひとときを過ごさせて頂きました。
次にお会いできるのが春だと思うと、とてもさびしいですが、そろそろ下山です。

剣岳
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伊那前岳
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中岳
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見るからにテカテカのツルツルです。

下りの八丁坂は高度感が凄い!
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恐怖の下山

最初はトラバースで。

遭対協の人は斜面を走ったりしています。
凄いなぁ。
私達が安全、安心に登山できるのも、遭対協のみなさんや、山荘のみなさんのおかげなんですね。
もっと意識を高く持って頑張らなければ。


登りのときよりは溶けていますが、恐怖心が出てきます。
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念のためピッケルとハーネスのP.A.Sを繋ぎます。
こうすればピッケルが刺さっていれば多少の確保にはなるかな?


バックステップで慎重に。
筋肉疲労と恐怖心でどうしても膝を着いてしまいます。
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パートナーがいろいろアドバイスしてくれるのですが、怖いものはどうにもなりません。
「膝を着かないように」と言われても。
「そろそろ立ち上がって横歩きできるよ」
「立ち上がらないと余計に怖いよ」
「こっちの方が新雪で楽だよ」
私の為に言ってくれるのですが、うるさく感じてしまいます。
「こっちの方が下りやすいの!」と逆ギレしてしまいました。

結局オットセイ岩の下の方までバックステップのまま。
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やっと立ち上がってもなんだか歩きにくい。
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待っているパートナーは凍えています。
きっと手が凍っているのでしょう。
手を振り回したり、グーパーしています。
申し訳なくて、それがまたプレッシャーになります。
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ヘトヘトになりながらなんとか千畳敷に到着しました。
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昨年はもうすこし楽だったと思うのですが、雪が少ないせいか、滑落のトラウマか、いずれにしても乗り越えなければいけませんね。

ここのところ、登頂することが減っていますが、あんまり気にしません。山はそこに身を置くだけでいいですね。

まとめ

アイゼン歩行は出来ているつもりでしたが、もっといろいろな場面に対応できるよう練習しなければと思いました。
自分の歩き方を信用できれば恐怖心も少しは無くなるのかな?と思いました。
アイゼンもしっかりメンテナンスしておかないといけないですね。
chi-sk8.hatenablog.com



そして何より、遭対協や警備隊、山荘のスタッフさんを見ていると、歩き方、体力、心配り、どれをとっても私達の安全に結実しているんだなと思いました。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
あらためて真剣に、また厳しく考えて、楽しく山に向かいたいと思います。

おいでなんしょ 宝剣山荘

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